2016年5月29日日曜日

API 2520 Opamp

API 2520 OPAMP

知らぬ人は居ない?API2520オペアンプです。
所謂ディスクリートオペアンプ(DOA)の先駆者的存在になったもので、現在もAPI社で作られている殆どの機材に用いられているものです。

前時代のSiemensやNeveのようなシングル増幅アンプとは違い、完全な差動アンプとしてオペアンプになったことにより簡単に利得を調整したり、外付けデバイスの組み合わせでプリアンプやEQ、コンプなどのモジュールにそのまま応用可能になったことが大きな進化です。またオペアンプとして共通規格のモジュール化することで容易に交換や補修が可能になったということです。同じ規格では、Jensen製のDOA、JH990などもこのあとに続いて発表されています。

70年代製といっても既にアナログにおける設計はほぼ極めているもので、サウンド的にもオペアンプ単体で見て特性・音色のバランスが良く、プロオーディオだけではなくコンシューマ用のリスニング・アンプにも使うことができます。

オリジナル(ヴィンテージ)と現行型で内部の抵抗値や半導体などが一部変更になっているものの、構造は一貫してほぼ同じです。2520の基本形は正負の入力、出力、正負電源の6ピンです。ヴィンテージの2520は7番目にT (Trim)のピンがあり、これは外部に可変抵抗を取り付け、初段のコレクタ抵抗値でDCオフセットを調整するものです。現行のオペアンプはこのピンは省略されている6ピン場合が多いです。

回路はNPNトランジスタの差動入力段、同じく差動のエミッタ接地増幅が2段、コンプリメンタリドライブ段、出力段というディスクリートアンプの基本となるような設計で、定電流回路は抵抗で省略されています。また位相補償は細かく大きめの値で入っており、なるべく特性をフラットにしようという意図が読み取れます。そのせいもあってか高域はナチュラルな印象です。

出力にはメタルカンTrによるエミッタフォロワーが入っており、十分トランスをドライブする力を持っています。

電源電圧はモデル25“20”の文字通り±20Vまでで駆動できます。
API系のクローン…もとい、ディスクリートオペアンプを使う機材では標準の電源が±15〜18Vぐらいで共通して使われることが多いので、20Vギリギリで使うことは少ないですが、十分なヘッドルームの広さを持っています。シングル半導体アンプのNeveなどが+24Vでヘッドルームが狭かったという部分からの進化です。

ちなみにこのオペアンプ、生産時期によってバージョンが確認されているだけでも7種類以上はあります。ラベルが青白のもの(SPRING FIELD VA)や画像の黒銀ラベルのもので4種類のロットがあるようです。自分がよく見るのはMELVILLE N.Yと印字されているものですね。

現行品があるパーツなので、以前は比較的安価に入手できたのですがこの頃オリジナルを手に入れようと思ってもなかなか数が揃わず、値段もだいぶ上がってしまいました。海外だとクローン基板が多く出回っているので、石は自分で選別して自作してみるのもいいでしょう。


FDOA-01


当方でも高性能なAPI2520互換オペアンプ、FDOA-01FDOA-02を製作しています。2520オペアンプの代用としても使えますし、オリジナルの機材製作にも応用が効きます。

また2520オペアンプを扱うことのできるプリアンプ基板(PB2520)も当方で供給していますので、オペアンプ単体を入手して使い道に困っていた方も様々なアプリケーションに転用できます。


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