2017年12月7日木曜日

Neve3415 ステレオラッキング

Neve3415/A 2ch

モジュールはそのまま引き抜けます

Neve3415/Aをステレオペアでラッキングしました。
3415は1272と同じく元々はNeveコンソールに内蔵されたラインアンプですが、入力トランスが各チャンネルストリップと同じ10468ですのでゲインを上げればマイクプリとして使うこともできます。イギリスのBlakyboyのラッキングが特に有名でしょうか。個人的には初段のゲインステージで歪みやすい1272よりも、こちらの3415のほうが使いやすい音色で好きですね。歪みが少なく落ち着きがあるトーンという印象です。トランスレスのコンデンサ・マイクなどとよく合う気がします。

さて今回は通常マイクプリとして使うほか、ラインアンプとしてもそのまま使えるようにしました。なので多少大きな信号が入っても問題がないように調整しました。ゲイン・スイッチの抵抗値もそれに合わせて変更しています。なのでオーディオIFなどから信号をサミングしたり、マスタリング用の2mixを通すことにも適しています。

BA440とBA460

Neve3415系の特徴はアンプ部です。1073や1272はアンプがBA283というA級シングルアンプで構成されていましたが、少し後の時代になってこの3415ではBA438とBA440という2個のディスクリートアンプに変更されています。 BA283との違いは、出力段がシングルではなくプッシュプルに変更されていることです。ゲインも初段のエミッタ抵抗ではなく、出力のフィードバックで調整されるようになっています。この部分が同じ+24V電源の1272よりも歪みが少なくなっている要因だと思います。ちなみに更に後の時代に刷新された33415モジュールではアンプがBA638とBA640というハイブリッドICタイプに変更されていますから、フルディスクリートのNeveは概ねこの時代が最終期となります。



入力トランスはMarinairもしくはSt.Ivesの10468、出力は基板付けタイプのTF12012が使われています。これはチャンネルストリップ形のモジュールだとNeve33115と同じですね。(なので1.2kΩないし300Ω入力のマイクプリアンプとして使うことができます)少し珍しいのは出力トランスのセカンダリーから出力アンプのBA440にもフィードバックが掛かっています。この時代のNeveは半導体アンプの周波数特性をフィードバックで補正しようと試みていることが分かります。

ちなみに3415モジュールは型番に末尾に/Aが付いていますが、他には3415xなど末尾にアルファベットが付いているものが何種類があります。それは納入先(放送局など)向けのカスタム品であることを示すアルファベットで、特定の部品がカスタムされていたり微妙に仕様が変更されているものが多いですね。(ex.アウトプット・トランスの変更)

当方のモジュールの在庫はありませんが、既にお手持ちのモジュールをラッキングすることはできますので、ご希望の方はお問い合わせください。

2017年12月2日土曜日

ディスクリートバッファー

最近プロオーディオ以外でも、デジタル臭さを取ったり、アナログのドライブ感を足す目的の機材ってたくさん出ていますよね。特に最近は流行しているギター系のエミュレーション・アンプ(ケ○パーなど)の前にそういったものを繋ぐのがトレンドのようで…。

さてそんな流行っている?デジタルアンプ向けの某社製のバッファーの中身を解説します。
今回は珍しく回路図も載せます。

ディスクリート・バッファー
Q1,2 : 2SK30ATM (Matched Pair)
Q3,4 : 2SA773
Q5,6 : 2SC945

※ダイオードは定電流E102

フルディスクリートがウリの製品のようです。
見ての通りディスクリートオペアンプをボルテージフォロワーしたものになっていますね。
回路を見てピンときた人も居ると思います。金田式アンプそのものです。

同じ半導体がペアで三つ並んでいるので一見回路図と同じく動作も完全対称のようですが、実は違います。2段目のPNPトランジスタの動作が左右で異なるからです。そのズレがそのまま出力段に出るので電気的には若干いびつな増幅になります。

この回路の特徴的なところが、出力段がコンプリメンタリーSEPPではないこと。エミッタフォロワーではなくエミッタ接地になっているところです。つまりは出力段にゲインがあります。逆を言うとこの回路の弱点でもあります。出力インピーダンスはそれほど低くなりません。ラインレベルぐらいまではローインピーダンスになりますが、トランスなどは直接ドライブできません。

複雑な回路ではなく自作できるので、買うのはアレだけど…という人は作ってみましょう。いわゆるソース接地やエミッタ接地一発のなんちゃってバッファーよりはしっかりした音が出ます。

注意すべきは初段の2SK30は特性の揃ったものを使ってください。ソース側の100Ω可変抵抗は出力に出るオフセットDCを調整するためのものですが、バラつきが大きすぎるとここで補正しきれなくなります。(元ネタの回路はデュアルパッケージのFETを使うことを推奨)



2017年11月15日水曜日

楽器プレイヤー向けヘッドフォンアンプ

ふとしたアイデアでしたが、ギターやベースなどを直接繋いで聴けるヘッドフォンアンプがあれば便利だなあと思いました。民生用のヘッドフォンアンプは沢山リリースされていますが、Hi-Z入力はありませんから、楽器を直接つなぐことはできません。楽器メーカーがプリアンプにヘッドフォン出力などを付けている場合もあるのですが、やはりオマケ的な要素が強いものが多く、音質はいまいちな場合が多いです。

私は普段ヘッドフォンでチェックするときはMacに繋いでいるオーディオIFなどを使うことが多いのですが、この場合Macを立ち上げていないときは使えません。スタンドアロンでシンプルに使えるヘッドフォンアンプはないか…と思って探しても上記の問題があって既存品には合致するものはなく…。

ラインでの音色のチェックという意味でもそうですし、ついでにiPhoneや携帯プレーヤを繋ぐことができれば、練習用アンプとしても使うことができるな…と。

以前こんなものを作ったことを思い出し、改めてやってみようと思いました。

その案で考えてみたのが、こちらのPractice HPAmpです。
以下ざっくりとした完成予定図になります。


ギターないしベースを接続し、それにAUXに繋いだ機材の音とmixした状態でヘッドフォン出力されます。AUXには音楽プレイヤーなどをつなぎ、バッキングを流しながらベースを弾いたりできます。もちろんAUXは使わなくても大丈夫です。

Inst入力はSapphireでも採用しているJ-FETのバッファーを介してアンプに送られるので、変に癖がつくことなくクリアーにサウンドチェックができます。また、プリアンプアウトを装備しているので、ヘッドフォンを使わないときでも、純粋なバッファーアンプとして使えるようにしました。電源は汎用のDC9Vから取れますが、内部で+-15Vに昇圧するのでヘッドルームは十分です。

と、『あればいいなあ』程度のものだったのですが、意外に欲しい人がいるかもと思い、受注オンリーで数台作ってみようとは思います。(レギュラー製作の予定はなし)

さて気になる価格ですが、パネルはシルクなしなど余分なコスト面をうまく抑えて¥35,800にて本日より発注承ります。納期は3週間ほどの予定です。細かいところをこうしたい!という要望にも対応いたします。

ひとまず4,5台ほど作ろうかと思っています。発注希望の方は、お気軽にメールしてください。よろしくお願いいたします。

デモ機。こんな感じになる予定です。

2017年11月2日木曜日

Barchie's様にてFETDシリーズ取り扱い開始!

このたび新宿の楽器屋さんBarchie's様にてこの度FETDシリーズ(Sapphire, Pomegranate)を取り扱い開始して頂けることになりました。



以前から直販メインがゆえに「気になっているから、楽器屋などで実際に試してみたい!」という声がありましたが、そういった方々には朗報です。既に店頭にSapphireとPomegranateを配置しましたので、すぐにお試し頂ける環境になっていますよ!

ハンドメイド品という特性上窓口になってもらえる相手は慎重に探す必要性がありました。Barchie's様では店長である千葉さんが独自のポリシーを持って品定めした商品のみを販売し、またカスタマーにとって一番良いアイテムが提供できるような経験豊富なスタッフが在籍しておりますので、当方の製品についても十分コンセプトを理解して頂けました。結果、Barchie's様なら販売を一任してもらうのに一番良い場所だと思い今回お願いした形になります。

もちろん今までと同じく私のほうで直接オーダーも受け付けていますし、逆にBarchie's様の店頭で実機に触りながらカスタムなどの内容に相談して頂いてもOKです。

Barchie's様のHPはこちら!


2017年10月8日日曜日

Neveリビルドと在庫整理

1年近く延期になっていました移転を今月行うことになりました。
そんな訳で、在庫品の機材をセール価格にしましたので、是非この機にご利用ください。


あともうひとつ、ちょうどNeve1272のエントリを書いた直後に部品が幾つか出てきたので、Neveリビルドのマイクプリアンプが作れます。


ヴィンテージのBA283(もちろんリキャップ済)+ St.Ives L10468VTB1148です。アウトプットは本来ならばLO1166が使いたかったですが、既に在庫がないのでエージング処理をしたVTB1148で代用します。

1Uケースに入れて価格は¥150,000〜といったところですが、オールドのNeveサウンドが欲しい!という方はどうでしょうか。クローンものより断然良い音がしますよ!

2017年9月25日月曜日

Neve 1272 Racked by Brent Averill

奥がLO1166/10468 手前がBA283


NeveのノックダウンものではメジャーになりましたNeve1272です。

こちらも元々はコンソールのラインアンプですが、中身はBA283アンプカードにMarinair/St.Ivesの入出力トランス(10468+LO1166)を組み合わせたものです。つまりNeve1073/1066などのチャンネルストリップのヘッドアンプ部分を取り出したものとほぼ同じものになります。(厳密にはゲインアップなどの定数がちょっと違いますが)

元々ライン・アンプであるものをヘッドアンプとして…というのはNeve3415と共通ですね。今回の個体はBrent Averillでラッキングされたものです。

Brent Averill氏は現在はBAEという会社を立ち上げ、Neveクローンを製造・販売していますが、元々はNeveオフィシャルのライセンスを受けて修理や改造をしており、このラッキングされたNeve1272もその時代のものです。


NEVE 1272 と表記されているのでオリジナルモジュールです


モジュールが枯渇した後はBAEでクローンのモジュールを作るようになり、オリジナルのNeveモジュールは使われていません。製造時期はフロントパネルの文字で判別することが可能です。MADE FROM NEVE 1272 MODULEと印字されていれば初期型でNeveオリジナルモジュールが使われている時期です。MADE FROM 1272 MODULEと印字されている時期はリプロダクトされたクローンモジュールです。

Neve1073に代表されるチャンネルストリップ型のモジュールはもうだいぶ昔から高騰しましたので、「ヘッドアンプだけでも同じ音で…」という人が増え、こちらの1272が用いられることが多くなりましたが、いまとなっては代用の1272でさえ枯渇し倍近く高騰。もはや市場にNeveオリジナルモジュールが出てくることも少なくなりました。


BA283、St.Ives製トランスを含めアウトプットトランス以外はまだ当方でもストック部品がありますので、Neveの音がするHAが欲しい…!という方は是非お問い合わせして頂ければと思います。

2017年7月25日火曜日

コントラバス対応 Sapphire 新モデル

更新少なかったですが、新製品のご紹介です。

少しサイズは大きくなりました

好評頂いております、Sapphire BassPreampのカスタムバージョンであるSapphire Acousticです。Acousticの文字通り、このモデルはアコースティック・ベース(コントラバス)向けのカスタムモデルとなります。

大まなかな仕様について説明すると入力がA、Bと2系統あり、ここにはアコースティック用ピックアップを接続します。SapphireオリジナルのJ-FETヘッドアンプも2基備えていますから、微細なピックアップの信号をここでゲインアップできます。

そしてその増幅した2つの信号をミックス。ブレンダーでその混ぜる比率もコントロールできます。その後ミックスされた音は3バンド・イコライザーを通り、電流増幅されたアウトプットアンプを通して出力されます…。

つまりは、Sapphireのポテンシャルはそのままに、2つの入力信号をミックスして出力できるカスタム・モデルということですね。SapphireのヘッドアンプはJ-FETを使ったハイ・インピーダンスに最適な入力構造ですので、元々ピエゾ・ピックアップなどと相性が良いのです。


オプション部分。通常はフォーン*2入力仕様です

更に今回のユーザー様に納品したモデルはカスタムの更にカスタム仕様…でして、2つある入力の片方をXLRマイク入力へ変更、更には+48Vファンタム電源の供給も可能にして欲しい…という依頼でした。ピエゾ素子ではなくコンデンサー・マイクロフォンを接続するためのものですね。

つまり片方の入力chをマイクプリアンプ化にするということです。筐体や電源の制約もある中で非常に難しいカスタムだったのですが、何とかプロオーディオで培った知恵を振り絞って実現可能となりました。(マイクロフォン入力のオプションは要チャージですのでご相談ください)

価格はtax込みで¥59,400〜とさせて頂きます。納期は1month。
その他オプション仕様はお問い合わせください。
飽くまでもレギュラーではなくカスタムのモデルですので、筐体ケースにも限りがあります。興味がある方はお早めに!